最初の踊り子
最初の踊り子さん
(とニュージーランドから来た人の背中)

 

 

上手な踊り子さん
上手な踊り子さん
(と日本人団体客)

 

トルコ親父の一団
トルコ親父の一団

 

 

◎ベリーダンスだ

 洗濯を干したら、食事の集合時間になったので、ロビーに行く。今日の食事はナイト倶楽部でベリーダンスを堪能するのだ。オルハンが迎えに来る。倶楽部は近くなので、ホテルの玄関から通りに出る方の距離が長い。門を出たらすぐ到着。見た目は非常にぼろいビルで、本当に大丈夫なのかと心配する。地下に潜る。ますます怪しい。奥さん、ここに前来たことあるらしいが、それがなかったら間違いなく疑っていた。席に案内される。オルハンはここで去る。全くイスタンブールでは我々は放し飼い同然だ。場内には先客がいる。後から知ったのだが、彼らはそれぞれキューバとニュージーランドから来たグループらしい。普段聞き慣れない外国の名前を聞くと、地球の広さを実感する。

 座らされた場所は、隅の方だ。ショーが始まる寸前に、日本人の団体客が入ってくる。彼らは舞台の廻りを占領する。小グループ故の悲しさか、旅行社の力関係の反映なのかは不明。取り敢えず距離的には遠いと思わないが、目の前の外人さんの頭と、舞台の柱がじゃまだった。

 食事の内容はいいだろう。別に旨い飯を食いに、こんな所へ来るやつなどいない(いっておくが、不味くはなかったぞ。)。お姉ちゃんの踊りを見に来たのだ。適当に飯を食っていると、ショーが始まった。奥さんの説明だと「最初は美人。でも踊りが下手。怪しげな三人娘。これはどうでもいいらしい。そんで上手い姉ちゃん。真打ちのもっと上手い姉ちゃん。」 という組み合わせで、合間にフォークダンスだの親父の芸だのを挟み込むらしい。

 最初は生バンドによるトルコポップミュージック。「どうでもいい、早く終われ!」 とは口が裂けても言ってはいけない(奥さんはバイオリン引きの美少年がお気に召したそうだが。)。待つことしばし。最初のお姉ちゃんが出てくる。うん、確かに綺麗だ。背中からお尻の曲線美がいい。でも踊りが思いっきりやる気がない。「あ〜、熱いわ。やる気ない。はよおわらへんかな」 というのが見え見えだ。一通り踊ると、客席を回る。写真を撮っていいのかな? と思いきやさに非ず。向こうが用意したカメラマンがシャッターを切るやいなや、さっさと移動する。こちらのカメラの都合はお構いなしだ。やられた。これも商売である。後でこの写真は一応買った。

 次にフォークダンス。先のお姉ちゃんに比べて背が低い。バイトの面接で背の高さ制限のおかげで、こっちに回されたのかな? と思ってしまった。芸の方は忘れてしまった。覚えていないということは、所詮その程度だ。

 その次にアラビア風のヴェールを付けた三人娘。これもどうでもいい。ダンスが揃っていないのとか、そんなのしか覚えていない。あんまりやる気なさそうだったな。

 上手いお姉ちゃんその一の登場。確かに最初のお姉ちゃんよりも美人ではないが、引き締まった精悍な体だ。踊りも上手い。ああ腰を振っていると、腰がキュッと引き締まるのも無理がないのかも。確かに上手かったな。うん。

 次はトルコ親父一団によるパフォーマンス。これが最初期待していなかったのだが、面白かった。お姉ちゃん達のやる気のない芸に比して、プロの芸を見た思いがした。ついでに小学校の時に見たドリフも思い出したぞ。

 真打ちのお姉ちゃん登場。スラブ系の白人。ただし、お肌は引き締まっていない。あちらではこういうのが受けるらしいが、個人的にはきゅっと引き締まったさっきのお姉ちゃんの方が好みだ。踊りを始める。確かにトリだけあって上手い。奥さんは「前来たときに見た、お姉さんの方が上手かった」 とぶーたれる。まあ、多少踊りに切れがないのかな? とも思ったが、よくわからん。面白かったのが、立ったまま胸を筋肉だけで揺らす芸。うーん、よくわからんが感心したぞ。

 最後にお兄ちゃんが唱う各国の歌とパフォーマンス。私はこういうのが余り好きくないのと、場所が狭い性で蒸し暑く、すっかり不機嫌になる。奥さんがそれに気が付いてたしなめるが、不機嫌なものはしょうがない。はよ帰せ!

 終わる。てんこ盛りだったので、それなりに面白かった。さっき撮られた写真を見に行った際、耳慣れた日本語を聞く。尾張弁だ。同行者に三河出身の人がいるので、トルコで尾張・三河というローカルな言葉を聞く羽目になるとは思わなかった。通常の日本人にはわからないと思うが、愛知県出身の私にはしっかり区別が付く… なんだかなあ。

 一応、ホテルまで再び舞い戻ってきたオルハンが案内してくれる。トルコは比較的治安がいいものの、さすがにイスタンブールの夜は気を付けた方がいいということらしい。明日の集合時間を言ったとたん、また彼はさっさとどこかに消える。部屋に戻る。窓から見える夜のボスポラス海峡も綺麗だ。眼下の公園で、イベントをやっているのか賑やかだ。さっきの倶楽部で汗もかいて、体調もあんまり良くなくなってしまったので、風呂入って寝た。


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