アナトリアの大地
アナトリアの大地

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スルタンサライ拡大図
スルタンサライ拡大図

 

 

 

◎今日は移動日

 起きる。我々は早起きだ。グループ(イズミールから年輩の御婦人方二人が加わり計八人。)中一番である。理由は「早起きすればバイキングの食事が無くなることが少ない。」 からである。ちなみに奥さんは「レストランが込むから」 だそうである。たいして変わらん理由だな。うん。

 荷物を纏める。毎日これが面倒。しかしやらなければならない。今のところ土産は買っていないが、これで土産が増えたらと思うと、ちょっと心配になる。

 表題のように、今日はアナトリア中部のカッパドキア地方まで、ひたすら移動だ。いざ出発! 道路事情&景色は前日と余り変わらない。ひたすら雄大である。道ばたで牛が草をはんでいる。これが馬になったりロバになったり、時たま羊がいるだけである。みんなのんびりしている。日本のように詰め込まれたりしてないのが、健康そうだ。肉が旨いわけである。当然イスラム圏なので、豚はいない。

 道が丘の真ん中を走る。相変わらず気持ちいい。遠くの町がよく見える。だが、「あそこに見える町まで歩こう!」 等と思ったら大変そうだ。何せ目印が余りないので、距離感がつかめない。ちょっと見えるからと言って歩き出すと、一日がかりかもしれないのである。その位雄大だ。「こりゃあいい放牧地だなあ! 遊牧トルコ人が居着いたのもむべなるかな。」 と勝手な感想を抱く。まあ、土地がやせているので基本的に遊牧にしか使えないのだろうが(最近は灌漑設備の整備等で、そうでもないらしい。)。畑作としては、スイカ・トマト。ジャガイモなど荒れ地によく育つ作物が主流だ。しかし、これが日本の水っぽいのと違って、歯ごたえがシャキッとしており、また異なる趣があってよい。トマト嫌いの奥さんが「トルコのトマトは旨い」 と言う位だ。私はスイカとキュウリが気に入った。食事毎に水分補給も兼ねてひたすら喰う。

 言い忘れたが、トルコでは通常お冷やが出ない。レストランでも同じだ。食事と飲み物は別料金である。先ずテーブルにつくと、飲み物を注文する。すかさずオルハンが説明をする。「ビールは180万TL。水は40万TL。ワインは・・・」 てなもんだ。私はフルーツジュースを好んで頼む。濃縮→水割りではなく、直絞りらしいので日本のよりフルーティーだ。甘さは言うまでもなく、トルコ風だ

 道中、私は退屈なので寝る。これは昨日と一緒だ。従って奥さんの機嫌も良くない。途中線路を見つけるが、列車は走っていない。何となく荒れ放題だ。どこでも同じなんだろうか。横を車がひっきりなしに走る道路とはえらい違いだ。大型バスはベンツが幅を利かせている。時々三菱車も見かけるが、概して日本車は少なく、ヨーロッパ車が幅を利かせている。ヨーロッパが近いことを実感させられる時である。

 十時の休憩だ! 途中のドライブインで休む。有料トイレ(50,000TLだったかな? どうもこの風習には何処に行ってもなじめん。日本人だからか?)に行った後、蜂蜜ヨーグルトがお勧めらしいので、チャイと一緒に頼む。ヨーグルトは力強い味で、日本のベシャベシャのと大違いで旨い。なにせ皿をひっくり返しても、なかなか落ちないくらいだ。味は昔食べていた「カスピ海産の種から増やしたヨーグルト」 に近い。チャイも初めて飲む。ガラスの小さい器に入った紅茶。角砂糖がつく。私は砂糖は入れなかったが、取り敢えず飲む。ガラス容器に入っているので、てっきり冷たいと思ったが、これが熱かったので驚く。後から考えると変なのかも知れないが、それが第一印象。味は「紅茶」 だった。思ったほど甘くなかったのでよい。今まで土産を買っていなかったので、スカーフを何枚かここで買う。

 また車は進む。進ったら進む。暇なのでまた寝る。時々ぼーっと目を開ける。だんだん高いところに登っていく感じがするのが、辛うじて認識できる。そう、アナトリア中部は高地なのである。おかげで、ここいらは日差しがきつくても涼しい。イズミールやエフェスとは大分違って過ごしやすい。

 昼だ! 飯だ! 今回もバイキング。但し、ここは料理人に好きな物を指さして、それを取ってもらう形式。何回も食べると、お気に入りが幾つか出来るので、それを指す。デザートはスウィーツとメロンとスイカだ。言い忘れたがトルコはメロンも旨い。この旅行中、一夏分のメロンとスイカを食べた気分だった。多分それは間違ってないだろう。何せ日本(京都)では、これらが高い。途中、トルコ風ピザを持ってくる。これがお好み焼きっぽくて旨かった。個人的には、もう少しぱりっとしていても良かったが、同行の皆気に入っていたようだ。

 ここでヨーグルトをなにげに頼んだのだが、スパイスが利いていてピリッとして、甘くない。でも旨い。「ヨーグルト=甘い味付け」 という認識しかない私にとって、これは新鮮な驚きである。そういえば、サラダ等、前菜のドレッシングにもヨーグルトは豊富に使われている。たんばく質と酸味を兼ね備えており、マヨネーズやドレッシングのように油分が余りないため、非常にさっぱりと食べられる。これも旅行中、非常に気に入ったものの一つである。日本にいたら、通常味わう機会のないメニューを楽しめるのも、旅の楽しみだ。

 また車は進む。町々には必ずモスクがある。イスラムの国だから当然だが、それぞれ結構新しいので驚く。イスラム圏の国で一番それっぽくないのが、ここトルコである。それはケマル・アタテュルクによる政教分離政策の影響が大きいのだが、最近イスラム系政党が政権与党になったりと、イスラム化が御多分に漏れずここでも進んでいる。モスクが新しいのはそんな社会背景もあるのかもしれない。モスクはオスマン式を模したようなドームを持ったものが多い。何故かドームを銀色で装飾するので、遠くからでもよく光って目立つ。イスラム恐るべし。あ、ミナレットって一本でも良かったのね。しかし、マイク&スピーカーとか使うこの御時世でも、やっぱし欠かせないんかねえ。

 またまた移動。車はコンヤと言う町に入る。ここは古のセルジュークトルコの首都だったところ。そんで、オスマン朝期には神秘宗教系教団(旋舞というぐるぐる回る踊りが特徴。)メブラーナ(メフレヴィーとも言う)の本部があった宗教都市である。従って、モスクが都市の規模に比して多い。しかも大きめ&新しい。オルハンの言うことにゃ、宗教が強い分中央政府にとっては厄介な町だそうな。

 郊外のガソリンスタンド&コンビニ併設店で休憩。オルハンはまたしてもお茶である。暇なのでコンビニを覗く。宗教都市らしく、ここでは他で売っている酒もさすがにない。水が安かったので買う。飲料の他、用心も兼ねて歯磨きなどにも使うので、結構水の減りが早い。前日からでっかいペットボトルを買っているが、夫婦で一日二リットルは飲みまくっている。

 ガンガン移動だ。標高も大分上がってきた。今度の休憩はスルタンサライである。ここには、キャラバンサライ(隊商宿)の遺構が残っている。それを外観だけ見物。軍人さんが警備をしている。鉄砲だ! 日本にいるとこんな物滅多に見ないので、一人感動する。ここの売店で、また適当に土産を買う。蜂蜜がハチの巣ごと売っていたが、買うのを忘れた。

 最後の移動。大分登ってきた。車窓にはひまわり畑もずーっと広がっている。何とはなしに綺麗だ。農家の放牧ではなく、明らかに夏の遊牧地での遊牧と思われる集団も見かける。ああ、トルコ人って遊牧民だったんだねえ、と感じさせられる瞬間だった。車はひたすら丘を登る。某歌を歌いたい気分だが、あれは歩いて越えるもので、車でガーッと越える大スケールに向いた歌ではない。丘の連なる大陸的草原地帯を知らない、日本向けのちまちました歌であると感じた。

 そうこうしているうちに、カッパドキアで泊まるホテルに着く。デデマンというトルコ資本の高級ホテルグループだそうな。チェックインをする。荷物が着く。さあ食事までにやること! それは洗濯だ! 日本からは最低限の着替えしか持ってきていないので、二泊するこことイスタンブールでどうしても洗濯する必要がある。その為に日本から洗濯便利セットを持ってきたのだ!

 洗濯のためバスルームへ行く。蛇口をひねる。「おお、水が茶色だ! ホントに五つ星のホテルか?」 取り敢えず水の色が普通になるまで出しっぱなしにする。ようやく水が綺麗になったので、洗濯をするが、「しまった、洗剤を日本に忘れた・・・」 幸運なことに便利セットに洗剤が付属していたのでそれを使う。しかし、このセット「何回でも使えます」 と書いてあるわりには、一回で袋が破れたぞ! まあどこでもそんなもんなんだろうが。洗濯が終わったので干す。ベランダが欲しかった・・・

 気が付くと、夕食の時間だ。レストランに行く。今回もバイキングだ。もういい加減慣れたが、飲み物はジュースを頼んで、後はひたすらがっつく。おなかが膨れる。

 部屋に帰る。今日は泳ぐぞ! と決めていたので、二人で室内プールに行く。受付に片言の英語とジェスチャーで、ロッカーの在処を聞き、着替えて泳ぐ。泳ぐのは高校以来なので忘れている部分もある。プールの塩素がきついので、潜ると目が痛い。結局一回しか潜らなかった。殆ど顔を上げてのクロールもどきと、犬かき(私は、平泳ぎが出来ない。)。夜なので、プールから上がると寒い。従ってプールに入りっぱなし。三十分くらい泳いでいたが、普段使わない筋肉を使ったので、非常に疲れた。部屋に帰って寝る。


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