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パムッカレ遠景

 

 

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石灰棚

◎車は一路パムッカレへ

 昼食後、石灰棚の希景で有名なパムカッレに車で移動する。現在トルコの鉄道は殆ど発達していない。古の3B(ベルリン・ビザンティウム・バグダッドを結ぶ鉄道建設に象徴される、近代ドイツの対近東政策)政策はどうなったのか? まあそれはともかく、トルコではバス移動が主流らしい。我々は人数が少ないので、ベンツのワンボックスカーで移動。これが結構大きめで、ゆったりした乗りごごちがよい。あちこちでこのタイプの車を見かける。旅行社のエンブレムがフロントガラスについていた。どうやら少人数用の旅行によく使われているようだ。

 車での移動は暇である。アナトリアの広大な大地の真ん中を、なにげに道が走っている。当然信号もない。日本だとやれトンネルだ! 橋だ! という感があるが、こちらの道は、ひたすら丘を越え、草原の真ん中を突っ切ってゆく。実に雄大だ! 地平線がよく見える。眠くなるので寝る・・・ 目を覚ます。「おお、牛だ。」 寝る・・・ 「おお、馬だ。」 寝る・・・「ミナレットだ! 町かな?」 これの繰り返し。奥さんは結構景色を気に入っていたようだ。私は体力の回復も兼ねてひたすら寝る。奥さん、これがお気に召さなかったらしい。御機嫌斜めだ。「じゃあ自分も寝ろよ!」 とは怖くて言えない。(^_^;)

 しかし、地平線まで延びる道は結構気持ちいい。車も飛ばす飛ばす。最初は結構怖かったが、慣れると「前の車なにノロノロしとんねん、さっさとぬかさんかい! 」 となり、更に後ろから抜かされるとしゃくになる。トルコの道はいい。非常に気分がいい。でもスピードの出しすぎには気を付けた方がいいと思うが。途中から道の具合が悪くなる。舗装はされているが、ガタガタ揺れる。時々持ち上がったりする感覚があって、結構スリルがある。都市部では道の状態がいいので、地方の道路特有の事情なんだろう。この揺れのおかげで、ポケピカの歩数が勝手に増えていく。これはこれで有り難い。(笑)

 道は右側通行。これが違和感ありまくり。自分で車を運転していたら、間違いなく交差点で反対車線に紛れ込んでしまうだろう。交差点と言えば、この国で十字路を余り見かけなかった。立体交差、左(右)折用の脇道等を駆使して、グルグルとわからないまま車は進む。車の流れ自体も、交通法規というより、タイミングで動いている感覚が濃厚だ。時々収穫されたスイカや牧草を山のように積んだ車を抜かす。過積載はどこへやらだ。この類のトラックやトラクターは、中国でも見かけたので、多分日本以外でよく見かけられる光景なのだろう。慣れると程々にいい加減でよい。ただ横断歩道を渡ったりするのは、日本の方がはるかに楽だけど。

 途中、ドライブインにて休憩。外はべらぼうに暑い! なんじゃこれは。車に水をかけているのを見て、別なツアーの外人さんが「俺にもかけてくれ!」 とジェスチャー。実に気持ちよさそうである。湿気が少ない分、気温は四十度を超えているだろう。これで湿気があったら死んでるな。うん。オルハンと運転手のゲゼル氏はのんびりチャイ(トルコ風紅茶)を飲む。この後、彼らのスタイルは、何処で休憩しても同じだった。トルコ人はよくお茶を飲む。トルコは今やお茶の国だ。お茶は上手かったので、適当に土産で買ってきた。程々に甘いのが病みつきになる。気が付くと、日本の紅茶が物足りない・・・ なんてこったい。気が付くとはまっていた。

 夕方パムカッレに着く。ここは冒頭にも書いたとおり、石灰棚の景色で有名である。昔はこの上を歩けたらしいが、近年自然保護のため、立ち入りが禁止されている。一応観光用のダミーが用意されているため、雰囲気は味わえる。取り敢えず裸足でそこに入る。水はぬるいが、温泉ということもあって、そこそこ気持ちいい。調子に乗ってガンガン進む。谷の向こうに石灰棚が見える。綺麗だ。日が傾くと、夕日が反射してもっと綺麗なんだろうなあ。またガシガシ進む。途中、温泉が上から流れ出ているところがあって、そこで外人さんが水着を着て、打たせ湯をやっている。やっぱりシャワーの感覚なんだろうか? 日差しがきつく、下も石灰で白い。従って上下から焼かれている感じだ。サングラス無かったらまぶしくてやっとれん。私も水浴びしたかった!

 谷の向こうの町から、なにやら聞こえる。「そうか、これってアザーン(礼拝の時刻を告げる知らせ)か。」 うーん、またしてもイスラーム。しかし私は大工場が近い所で生まれ育ったので、「お昼の十二時とか夕方五時を知らせる音楽と、対して変わらんなあ。」 と不謹慎なことを感じていたのだった。

 車に戻る。パムッカレの近くに、ヒエラポリス(聖なる町)というギリシア都市遺跡がある。今回は通り過ぎただけだが、結構遺跡の規模は大きい。きちんと整備すれば、複合的な観光地になるだろうなあ。博物館はあるらしいが、着いたときには既に閉館時刻を過ぎていた。遺跡の保存状態もいいが、ただ黒ずんで汚れているのがマイナス。更にその近くに墓地区がある。ヒエラポリス自体が温泉も利用した、治療区的な存在であったため、各地から病人がやってくるところだったようで、当然病癒えず、ここで亡くなる人も多かったようだ。彼らの墓地がネクロポリス(死者の町)と呼ばれる墓地区である。道がその真ん中を走っているので、まるで棺桶の林をぬうような感覚で面白い。怖い感じは全然しなかったが、怪談のネタになるかも・・・

 ホテルに着く。リゾートホテルだ。それ向けのお客も多い。プールもあって何人か泳いでいる。涼しそうだ。水着を持ってこなかったのは失敗だった。で、ホテルの売店で買う。夜遅かったので、ここでは泳がず、他日を誓う。

 ご飯は、そのプールサイドのオープンスペースで食べる。またしてもバイキングだ。炎天下に出しておいて食中毒はいいの? 蠅もハチもいるので少々心配だが、食欲には勝てない。ここではみんなでラクを飲む。ラクとは、トルコの大衆酒で、「ブドウからワインを絞った後のかすを蒸留し、それにウイキョウ(インド料理屋でレジに置いてあるやつ。中華料理もよく使われるスパイス。)で香り付けしたもの。」 である。無色透明だが、水で割ると白く濁るため、「ライオンのミルク」 と呼ばれている。何故ライオンなのかは不明。アルコール度数はブランデーと同じくらい。結構高めだ。土産に小瓶でちょっと買ったが、湿度の高い日本向けの酒ではないと思う。私は酒に弱いので、口を付けた程度だが、奥さんは底なしのため、人の分まで飲む。みんな驚いていた。

 メニューは当然トルコ料理。ここも味はまあまあ。コメをお粥にして、それにヨーグルトソースで割り、シソで味付けしたスープがあった。味はそこそこ。大量に喰うと、ちょっとすっぱい。カップ一杯程度なら、いい味である。デザートは相変わらず甘い。でも蜂蜜がハチの巣ごと置いてあったのは感動した。シャクシャクしておいしい。気に入った。

 ホテルはリゾート系なので、調度もそれっぽい。なんか学生の時の合宿に使った宿を思い起こさせるたたずまい。ドアの立て付けが程々に宜しくないので、よりそれを助長させる。もっともプールはなかったが。クーラーも余りきかず、外の方がかえって涼しいのは御愛敬か。

 飯を食って、酒を飲んだ。後はシャワーを浴びて、ひたすら寝る。ZZZ・・・


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